【台風3号被害】フィリピン現地報告とフリーアールの取り組み
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2024年7月、台風3号(フィリピン名:カリーナ)がフィリピンに上陸し、多くの被害をもたらしました。フリーアールではフィリピンの首都・マニラで直営店を運営しています。今回はカリーナの被害と当時の様子、現地で何をしていたのかをお話します。
フィリピンは距離としてはそう遠くないものの、実情を詳しく知っている方は少ないかもしれません。この記事を通して、少しでもフィリピンのことを知り、リユースに興味を持っていただけたら幸いです。
台風3号によるフィリピンの被害
2024年7月、フィリピン国内では約480万人が台風被害を受けたと発表されています。首都・マニラを含む各地域で洪水や停電が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされました。実際にどのような被害を受けたのかをお伝えします。
2024年7月に首都・マニラにも台風が直撃
2024年7月23日と24日を中心に、首都・マニラも台風による深刻な被害を受けました。そもそもフィリピンは数多くの台風が発生する地域です。今回は台風3号「カリーナ」と同時に南西モンスーンや熱帯低気圧「ブチョイ」(国際名:Prapiroon)の影響もあり、強風と豪雨による大洪水が発生したのです。
国家災害リスク削減管理委員会の公表(2024年7月30日付けの情報)によると、今回の台風による死亡者数は39人、行方不明者数は6人、影響を受けた人々の数は480万人に達します。マニラでも10代の少年がおぼれて命を落としたとの報道もされました。
2022年にも大型台風「カルディン」がフィリピン国内に甚大な被害をもたらしましたが、その際の最終的な影響を受けた人々の数は140万人と見積もられています。今回のカリーナでの被害がどれほど大きかったかがわかります。
カリーナの被害を伝えるフィリピンメディア
フィリピンメディアでは台風3号・カリーナによる被害を詳細に報道しています。2024年7月30日付けの記事を一部を抜粋すると以下です。
・死亡者数は39人に達し、影響を受けた人々の数は約480万人
・約10万8千人が難所で支援を受けている
・影響を受けた農業従事者は約2万3千人で、25,723.64ヘクタールの農作物が影響を受けた
・農作物の生産損失は5億4,521万6,362.54ペソを越える
・フィリピン国内インフラへの被害額は42億6千万ペソ
・2,005戸の家屋が部分的または全壊し、被害総額は260万ペソ
・12の市と自治体では停電が続いている
大まかではありますが、1ペソ=2.5円です。フィリピンが受けた被害の大きさが伝わってくるかと思います。
現地ニュースや写真で被害状況を確認したい方は以下のURLを参考にしてください。
'Carina' death toll now at 39; affected persons reach 4.8 million | Philstar.com
【台風3号被害】現地・フリーアールの被害と取り組み
フリーアールでは海外直営店をマニラで経営しています。今回の台風3号でも被害を受けました。ここでは当時の様子や現地での取り組みを紹介します。
フリーアールの海外直営店【JAPAN NINJA SURPLUS】の様子
海外直営店【JAPAN NINJA SURPLUS】は、深刻な洪水被害を受けたマニラ市内にあります。偶然にも高い場所に店舗があったため、直接的な浸水被害は避けられました。ただし、周囲は水が浸かっている状態であり、とても通常営業できる状況ではありません。そのため、7月23日・24日は臨時休業しました。
フリーアールが現地で行った実際に取り組み
台風3号・カリーナの被害が拡大する中、偶然フリーアールの社長が現地滞在していました。フリーアールは台風被害を受けた方々に向けて、すぐに2つの取り組みを実施しました。
①:災害被害に遭った方に「衣類の無償配布」
多くの住居は浸水被害にあり、大人の頭の上までの高さになった地域もあります。災害発生直後には、多くの被災者が必要最低限の生活用品を失うため、当然着替えのための衣類もありません。とりいそぎ、直営店の在庫にあった衣類の無償提供を開始し、必要な方に届けました。
②:本当に必要な方に届くように「30%オフクーポン配布」
浸水被害で家財道具を流されたり、使えなくなったりした方も多く見られました。そこでフリーアールでは、本当に必要な方に支援が届くように、直営店で使える30%オフクーポンを配布しました。配布と言ってもただクーポンを不特定多数に渡すだけでは不十分だと感じ、社長が歩いて本当に必要な方に説明をし、手渡しで配布しています。
フィリピンはどんな国?台風被害をきっかけに知ってほしいこと
フィリピンは美しい自然と暖かい人々に恵まれた国ですが、度重なる自然災害や根深い貧困問題といった課題も抱えています。
フィリピンってこんな国
フィリピンは多様な文化と自然環境が豊かな東南アジアの国です。この国は7,000以上の島々から構成されており、フィリピン全土で英語とタガログ語が公用語として使われているため、英語が通じやすい環境にあります。
日本からのアクセスも良く、羽田空港から首都・マニラへの直行便は、フィリピン航空が毎日運航しており、所要時間は約4時間40分です。現地ではビーチリゾートやダイビングスポットなどが多く、文化的なイベントやお祭りも楽しめます。また、明るく穏やかかつ社交的な国民性もあって、観光客に対しても親切です。2023年には約30万5千人の日本人観光客がフィリピンを訪れています。
今回の台風3号以外にも自然災害が頻発している
フィリピンは地理的に台風、地震、そして火山噴火といった自然災害のリスクが常に高く、世界で有数の災害大国として位置づけられています。国土の約60%(人口では約70%)が洪水・地すべり・地震・サイクロンなどの危険にさらされています。
中でも都市部の洪水被害は深刻で、2000年代後半からは被害規模が大きくなり続けています。当然、日本をはじめとする高度な防災技術を導入する動きも出ていますが、なかなか進んでいないのが現状です。
フィリピンには根深い貧困問題を抱えている
フィリピンは、美しい自然と豊かな文化が魅力の国ですが、その裏には根深い貧困問題が存在しています。
フィリピンの貧困率
フィリピン統計局の調査によると、2023年の貧困率(低所得者の割合や経済格差を示す指標)は15.5%と高い水準にあります。大まかな数値ではあるものの、月収が約2万4千円を下回る世帯が貧困世帯に該当します。2021年の調査では18.1%だったこともあり、数字としては下がっているものの、物価上昇もあって今後の大きな改善が難しいのが現状です。
また、社会気象局(SWS)が2024年に実施した調査によると、自分の家族を「食料に困っている」と評価する割合も2008年以来の最高値に達しており、経済的に豊かな国とは言えない状況が続いています。
調査については以下の記事を参考にしてください。
フィリピンの貧困の要因とは?プラン・インターナショナルの取り組み|国際NGOプラン・インターナショナル 寄付・募金で世界の子どもや女の子を支援
Self-rated poverty at 58 percent, highest since 2008 | Philstar.com
賃金と物価
フィリピンの賃金と物価には、地域によって大きな差があります。たとえば首都・マニラでは月収に換算すると15,000ペソ(37,000円)程度です。一方、語学留学やリゾートで有名なセブ島付近では月収10,980ペソ(約27,000円)が平均です。フィリピンでは住居費など生活費がかからない仕事もあり、一概には言えないものの、日本の10分の1程度になっています。
物価については、こちらもおおよそではありますが日本の4分の1程度です。収入に対して、物の値段が高いことがわかります。そのため、日本以上にリユース品に興味を持つ方が多いです。
生活と食事の環境
フィリピン国内の240万世帯が飢餓に苦しんでいるといわれています。平均的な収入の世帯では、家計の半分を食費が占めることになり、1日3回の食事もままならない家庭も多く見られます。また、生活環境もマニラなど都市部とそうでない地域では、大きな差が生じているのも問題になっています。上下水道や衛生設備が不十分な地域もあります。
経済成長もあり、一時よりも食事や生活に関する環境は良くなってはいるものの、依然として貧困に苦しむ人が多いです。
フリーアールでは直営店舗経営を通してフィリピン支援を行っています
フリーアールでは日本で買取を行った不用品の一部をフィリピンの直営店舗で販売しています。日本のリユース品はクオリティが高いと評判であり、連日多くの人でにぎわっています。新品では購入するのをためらう物であっても、リユース品なら手が届くといったうれしい声もいただいています。
ご自宅にもう使わない品はありませんか?または自治体の粗大ゴミや燃えるゴミなど一般ごみで処分しようとしている物はありませんか?もし思い当たる品があれば、ぜひフリーアールにお問合せください。フリーアールではゴミとして処分するには費用がかかるアイテムも、無料または買取品として引き取れる可能性があります。フリーアールに不用品の引取りを依頼することが、社会貢献へつながるかもしれません。
この記事を書いたのは
株式会社フリーアール 遺品整理士協会・JRRC所属。2011年の設立以来、神奈川県 藤沢市を中心に遺品整理や生前整理/不用品買取/お片付けを行い |
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